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孤立出産した女性に対する懲罰的な社会を変えるための声明

当プロジェクトでは5月31日に「生後0日児遺棄等事件についての声明」を出しました。しかし残念ながら、その後も、孤立出産した女性が生後0日児の遺体を遺棄した罪に問われて有罪判決を受ける事例が続いています。

私たちはこれらの判決が不当であると考え、昨日(9月14日)声明を発表し、国に対して2点の問題提起をしました。

 

ActionforSafeAbortionJapan(ASAJ)

(国際セーフ・アボーション・デーJapan プロジェクト内)



 孤⽴出産した⼥性が⽣後 0 ⽇児等の遺体を遺棄した罪に問われ、有罪判決を受け る事例が相次いでいます(函館地裁 1 ⽉ 27 ⽇、名古屋地裁 5 ⽉ 31 ⽇、熊本地裁 7 ⽉ 20 ⽇、⻑野地裁 7 ⽉ 26 ⽇など)。

 私たちは、孤⽴出産した⼥性に懲罰的な⽇本社会の対応を変えるべきだと考え、 この声明を提出します。

孤⽴出産に懲罰的な⽇本の問題は、⽇本に滞在する外国⼈⼥性にも影響を及ぼし ています。今年 7 ⽉ 20 ⽇の熊本地裁判決では、22 歳のベトナム⼈技能実習⽣が⾃ 宅で死産した双⼦の遺体を、⾃室内に“遺棄”したとして、懲役 8 ヶ⽉執⾏猶予 3 年 が⾔い渡されました。

  報道等によれば、技能実習⽣は、妊娠について誰にも⾔えず⾃宅で死産し、産後 の疲労と精神的疲弊がある中で、タオルを敷いた段ボールに双⼦を納め、さらにそ の上にタオルをかけ、それぞれに名前をつけて「安らかに眠ってください」と弔い の⾔葉とともに⾃室の棚に置きました。のちに埋葬するつもりで、遺棄の意図はな かったことから「安置」であったと主張しましたが、裁判所は認めませんでした。

 私たちは、この有罪判決は不当であり、問われるべきはリプロダクティブ・ヘル ス&ライツを⼗分保障していない⽇本社会にあると考え、次の 2 点を問題提起いたします。


①国籍を問わず、⽇本で暮らすすべての⼥性に、リプロダクティブ・ヘルス&ライ ツを保障すべきである。


 海外から来⽇する⼥性のリプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と⽣殖の健康と 権利)は守られていません。例えば妊娠・出産を理由に技能実習⽣を解雇したり、 不利益な対応をすることは法律で禁じられていますが、実際には妊娠を機に仕事や 2 住まいを失ったり、帰国を余儀なくされる例があります。そのため、妊娠したこと を相談・報告できない技能実習⽣は少なくありません。

 そもそも⽇本には、避妊・緊急避妊・妊娠・中絶・出産・養育に関する⽇本語の 公的情報が不⼗分です。そのような環境で、技能実習⽣をはじめ様々な⾔語で暮ら す⼥性たちが⽇本で情報を得るためには、⾃国語で書かれた公的サイトが必要なの はもちろん、電話以外の相談窓⼝(SNS のみが通信⼿段の技能実習⽣も少なくあり ません)、役所や病院への同⾏⽀援、通訳の⼿配、妊娠中の体調急変にも対応でき る体制などが不可⽋です。すべてを⾃⼒で整えるのは容易なことではありません。

 ⽇本に避妊・中絶の選択肢が少なく、⾼額であることも、海外からきた⼥性たち には⾼いハードルです。熊本の技能実習⽣も、妊娠を誰にも相談できず、中絶や出 産に関する情報がありませんでした。

②孤⽴出産した⼥性に懲罰的な⽇本社会を、変えるべきである。

 出産後の⼥性と⽣まれた⼦どもに必要なのは保護とケアであり、流産・死産した ⼥性にはグリーフケアが必要です。しかし、⾃宅や出先で、誰にも⾔えず孤⽴出産 した⼥性には、そのどちらも保障されません。むしろ⽣後 0 ⽇児に対する責任を⼥ 性だけが負わされています。

 たとえば昨年、東京で「死産した⾚ちゃんをどう葬ったらいいのかわからない」 と妊娠相談窓⼝にメールした 20 代の⽇本⼈⼥性は、⼥性の保護が必要だと判断し た相談窓⼝によって(本⼈同意のもと)警察に通報されましたが、警察が⾏ったの は保護ではなく、死体遺棄の容疑で即⽇逮捕することでした。メディアも実名で報 じました(⼥性はその後不起訴になっています)。先のベトナム⼈技能実習⽣も、 メディアで実名報道され、犯罪者として裁かれました。

 孤⽴出産の背景には、避妊や中絶の選択肢不⾜、性暴⼒や貧困、中絶に配偶者同 意を求める差別的法規など、当事者個⼈では解決できない複合的な社会問題があリ ます。それにも関わらず、助けを求めた先に逮捕や実名報道が待つならば、葛藤を 抱える⼥性は相談を躊躇わざるを得ません。

 医療機関、警察、検察、裁判所、⾏政、報道に携わる⼈々はとくに、脆弱な⽴場 にある妊婦・⼥性を懲罰的まなざしで裁く社会を変えるために、現状を⾒直し、率 先して動くことが求められます。

 どのような環境にあっても、妊娠のいかなる段階でも、プライバシーが守られ、 ⼥性が容易に相談・⽀援につながることができる道筋をつけることが、私たちの社 会の喫緊の課題です。

以上

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